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2017年05月15日

今時の犬と人の関係・・とは!?

犬は、おおよそ3万3千年前に、野生の狼から、分かれて人に近づいてきました。
狼にとってはとても危険な選択をしたことになります。一つ間違えれば、人に殺され、食べられたかもしれません。それにも関わらず、人に近づき、残飯目当てに危険を犯しました。
当然、狼が野生で生きていくのは大変なことです。あらゆる能力を駆使し、獲物を捕り、子を育て、家族を養い、やっと生き続けることができるのですが、そんな能力があっても、人が捨てた残飯をあさるほうが、獲物を獲って生きるよりも有利だと判断したのでしょう。
しかし、そのためには狩猟能力より、人の行動をよく観察し、うまく順応し、人に好かれるように振る舞うことのできる能力のほうが役に立ったに違いありません。実際、警戒心は弱く、服従するよりも人に取り入ることの上手なものが、犬として生き残ったと考えられます。

そして、犬は、1万5千年前には、人の家族の一員としての地位も獲得しました。
この頃、人類は地球上あらゆる場所に生活圏を広げていましたが、それにも犬がお供したと考えられます。どんな厳しい環境においても、狩猟の手助けをし、人の生活を支えてくれる犬の存在は大きかったと思います。その人の生活スタイルにより、仕事も多様化し、より役立つ犬が選ばれ、時代とともに、様々な犬が生まれてきました。
人は、生活のために犬を飼い、犬は、人から食糧を得るために働き、その共生関係は、時の経過とともに深化し、人の生活に欠くことのできない存在となり、犬の優れた能力は、様々な分野で生かされることにもなりました。

街に徘徊する犬(タンザニアにて)

ところが、現在になって、世界中の発展途上の国々では、多くの犬が人の集まる街や集落に仕事もなく徘徊し、残飯をあさり、放浪しています。特定の飼い主がいるわけでもなく、かといって、野生に戻り、狩りをして自活することもありません。
世界中で人口が増え、犬にとって、残飯など食糧を手に入れる機会は増えました。その結果、犬は勝手に繁殖し、数を増しています。一方、人の生活スタイルは変わり、犬の力を借りなくとも生活できるようになりました。しかし、犬を養うだけの生活にゆとりはありません。かえって、このような社会では、犬との関係性は希薄になっています。

我が家の“プー”です。

一方、生活が豊かでゆとりある人々は、犬に、特別、仕事らしい仕事を与えることもなく、ただ、“可愛がり、愛する”ことを目的(愛玩)に、犬を飼っています。見方によっては、人の養育本能を満たし、人に“幸せをもたらすこと”がその犬の仕事といっても良いかも知れません。
愛玩犬として作られた犬の特徴は、本来の犬の姿や行動までも幼く、かわいらしい犬になりました。行動上も、人に甘え、へつらい、赤ちゃんのように振る舞います。心は未熟で、強い者への服従は苦手です。
食物よりも愛情を欲しがり、甘えて媚びれば、食物は無条件に手に入ることを知っているようです。ミルクをせがむ赤ん坊と母親の関係のようなものです。
人が、こういう犬と楽しく幸せに暮らすためには、精神的な乳離れをさせる必要がありますが、我が子のように、また、それ以上に可愛がりたい飼い主にとって、それは難しい問題です。しかし、そうしなければ、駄々をこね(咬むなど)、自己中心的な行為(吠える・不適切排泄など)に悩まされることになります。

犬は、人との長い付き合いの中で、獲物を捕るための狩猟能力から、人の心や気分を読み取る能力を発達させ、人と共感できる能力までも身に付けました。
これにより、犬は人の気持ちを瞬時に読み取ることができます。しかし、多くの人が、犬の気持ちを正しく理解し、適切に振る舞うことができません。もし、気持ちがかみ合わないままに暮らしていれば、“幸せをもたらしてくれるはずの犬”も、その目的が果たせないだけでなく、もどかしく不安な日々を過ごすことになります。
犬の気持ちを正しく理解して接することは、犬との幸せな暮らしのためには、とても大切なことです。


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